ネットワーク技術ニュース

IPv4からIPv6への移行期に、データセンターではどのような対応をするのでしょうか?
さくらインターネットの場合は、余っているIPv4アドレスの買取りとともに、トランスレータでIPv4とIPv6を相互接続するとのこと。
IPv6でネットワークシステムを構築するノウハウが必要ですね。

http://enterprisezine.jp/article/detail/3473

データセンター事業者はIPv4アドレス枯渇をどう乗り越える!? さくらインターネットの場合

 2011年4月、JPNICにおいてIPv4アドレスの通常割り振りが終了した。
この"IPv4枯渇"という動かしようのない事実を受けて、ようやくインターネットの世界はIPv6対応に向けて重い腰を上げ始めた。
だが、現状ではほとんどのユーザはIPv4で接続しており、この状況はまだ当面続くと見られている。
つまり世界が"IPv6オンリー"を受け入れるようになるまでは、少なくともあと数年は必要ということになる。

 そしてIPv4アドレス枯渇で最も深刻な影響を受けるプレイヤーが、ISP事業者やデータセンター事業者など、IPアドレスを重要な商売道具にしている接続事業者だ。
IPv4枯渇後、彼らはどのような対策を図ろうとしているのか。
9月15日に東京・品川で行われた「Move Innovation A10 Forum2011 - IPv4枯渇対策/IPv6移行セミナー」(主催: A10ネットワークス)において、さくらインターネット さくらインターネット研究所 上級研究員 大久保修一氏が話した基調講演の概要を紹介したい

IPv4アドレス確保の重要性

 「IPv4アドレス確保の手段としては、IPアドレスの移転、既存セグメントからの回収、バックボーンからの回収、フレッツプールアドレスからの回収、ISPからの割り当て、IPv4アドレスをもっている企業の買収などが挙げられるが、当社ではIPアドレスの移転、つまり他の組織から購入するという方法を取ることにしている」と大久保氏。
JPNICは上位組織であるIANAの流れを受けて、8月1日からIPv4アドレスを保有する事業者どうしの合意のみでアドレス譲渡を行うことを許可しており、JPNICで移転申請を受け付けている。
さくらインターネットはこの新制度を利用して、IPv4アドレスの確保を進めていく方針だ。

IPv4とIPv6の橋渡し - プロトコルトランスレーションサービス

 IPv4アドレスの枯渇により、今後は必然的にIPv4とIPv6という2つのネットワークが混在することになる。
この2つはまったく別のプロトコルであり、互いに直接会話することはできない。
双方でサービスを参照できるようにするには、橋渡し的な存在が必要になる。

3473_2.jpg

IPv4とIPv6はまったく別のプロトコルであるため、そのままでは互いに接続できない

 現在、A10ネットワークスなど一部のベンダは、IPv4とIPv6の両方に対応したデュアルスタックのネットワーク機器を提供しており、新規のサービスを立ち上げる場合にはデュアルスタック採用は非常に有効だと言える。
だが既存のサーバ、つまりIPv4でしかサービスを提供していないサイトの場合、IPv6対応を行うにはかなりの手間やコストが伴う。
そこでさくらインターネットは当面はIPv4とIPv6のデュアルスタック化を図らず、トランスレータを設置することで、IPv4とIPv6の間の到達性を暫定的に担保する方針だ。
とくに重要となるのはIPv6ユーザがIPv4サービスを利用する際の到達性の確保になる。

 トランスレータはIPv4とIPv6のプロトコル変換を行う装置で、「NAT64方式」「TRT方式」「プロキシ方式」の3つが主な変換方式だ。

 NAT64方式は最近標準化されたもので以前はNAT-PTと呼ばれていた。
高速処理が可能だが、IPヘッダの変換のみ、IPv4とIPv6を「強引に書き換える」(大久保氏)手法なので、かなりの無理が生じることになる。
変換できないアプリケーションも多い。

 TRT(Transport Relay Translator)は比較的古くから存在する手法で、いったんTCPコネクションを終端し、パケットの再構成を行う。
NAT64に較べて効率的な通信が可能になるが、本来のアクセス元(IPv6)を調べるにはアクセスログを参照して日時からつけ合わせるしかないなどの煩雑さも抱える。
また、TCPを終端するため、トランスレート先のサーバがダウンした場合、コンテンツの中身まで確認する必要がある。

 プロキシ方式はHTTPやFTPなどアプリケーション層でプロトコルの中継を行う。
他の2つに比較して実装は容易だが、アプリケーションの実装により動作がまちまちになるという欠点がある。

 なお、さくらインターネットのWebサイトは現在、TRT方式のトランスレータを利用してIPv6からのアクセスを可能にしている。

バックボーンネットワークとサービスのIPv6対応は?

 また同社のIPv6ユーザに向けて、トライアル(無料)で6rd(IPv6 Rapid Deployment)を利用したIPv6接続サービスを提供している。
ユーザは利用中のサーバに6rd設定を行うだけで、同社のIPv6ネットワークに接続することができる。
OS入れ替えなど、コストがかかるオペレーションをしなくても簡単にIPv6を試すことができるので、IPv6への対応を検討中の企業には最適なサービスだろう。

リンク

6rdによるIPv6接続(概要編) « さくらインターネット研究所
http://research.sakura.ad.jp/2011/01/05/tunnel-6rd-intro/


添付ファイル: file3473_2.jpg 490件 [詳細]

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2011-09-23 (金) 20:51:31 (4599d)