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*ネットワークスペシャリスト2010年 午後1 問2 [#mfb07805]

** 問題 [#y26156f3]
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_2/2010h22a_nw_pm1_qs.pdf

問2 ネットワークの評価に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

 Z社では、家電製品・OA機器の故障品の受付、修理及び修理完了品の返送の業務をメーカから受託している。Z社の本社は東京にあり、修理業務は、仙台拠点と横浜拠点で行っている。両拠点への業務委託元及び取扱製品は異なるが、業務内容や作業量に大差はなく、派遣社員やパートタイマが差魚印として勤務している。
 本社に設置されている業務管理サーバ(以下、業務管理SVという)及びファイルサーバ(以下、ファイルSVという)には、全社のPCがアクセスしている。拠点では、業務の都合上、修理記録や各種伝票類を帳票で管理しており、常時、PCからプリンタへ印刷データを送信している。また、Z社には、IP電話による社内電話システムが構築されている。本社と各拠点間は、IP-VPNで接続されている。現在のところ、IP-VPNのピーク時の回線使用率は約8割であり、通信帯域は不足していない。Z社の現在のネットワーク構成を、図1に示す。

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>図1 Z社の現在のネットワーク構成(抜粋)

 Z社では、運用管理の省力化とセキュリティの強化を目的に、全社のPCをデータの記録蓄積機能のないシンクライアンと呼ばれる端末(以下、TCという)へ移行する計画がある。TCへの移行は、PCの更新時期を控えている仙台拠点を先行し、問題がなければ全社に拡大する方針である。移行計画では、TCへの移行のために、現在のネットワークを変更する必要があるかどうかを評価することが、検討課題の一つとして挙げられている。そこで、移行計画を担当することになった情報システム部のO主任と後輩のU君は、ネットワークの評価について打合せを行った。
 次は、そのときのO主任とU君の会話である。

[TCの実装方式と通信]
O主任:会社の業務は変わらないとして、全社のPCをTCへ移行すると、現在のネットワーク構成で問題になるところは何かしら。

U君:調査しないと分かりません。ところで、TCの実装方式は決まったのですか。

O主任:ええ。画面転送型といって、仮想化機構を組み込んだサーバ(以下、仮想化SVという)に、PC単位の独立したプログラム実行環境(以下、仮想PCという)をソフトウェアで構築し、仮想PCの画面情報をTCに表示する方式に決まったのよ。仮想化SVは、本社に設置する計画よ。

U君:その構成だと、機器間の通信形態が変わるので、LANやWANでのトラフィックの流れと量が変わります。まずは、TCへ移行した後のIP-VPNの使用帯域の試算と、RTの優先制御設定の再検討が必要になります。

O主任:そうね。仮想PCとTC間の通信には、①画面転送時の伝送情報量の削減技術や、通信のバースト性の低減技術が採用されているので、TC1台当たりの平均使用帯域が20kビット/秒になると聞いているわ。
O主任:そうね。仮想PCとTC間の通信には、%%%①画面転送時の伝送情報量の削減技術や、通信のバースト性の低減技術%%%が採用されているので、TC1台当たりの平均使用帯域が20kビット/秒になると聞いているわ。

U君:それならば、仙台拠点に設置する40台のTCの通信には、IP-VPNの伝送効率を0.8として[ a ]kビット/秒の通信帯域をIP-VPNで確保すればよいことになります。また、独立した複数のトラフィックを一つの伝送路に多重化することで、帯域を効率よく共有できる[ ア ]多重効果を期待すれば、確保する通信帯域をもう少し減らせるかもしれません。

O主任:でも、実際には画面の表示内容によって、使用帯域が一時的に増加することがあるのよ。仮想PCとTC間の通信帯域が不足するとTCの操作に影響するので、通信帯域の余裕を十分に見ておいてね。後で資料を一式渡すわ。

U君:はい。それと、拠点からは、新規配属の作業員向けの訓練に動画を活用したいという要望があります。[ イ ]と呼ばれる映像の符号化及び複合装置やソフトウェアについても調べ、TCの機能で対応できるかどうか確認しておきます。

 U君は、仙台拠点でTCへ移行した後の、本社と仙台拠点間のIP-VPNのトラフィックについて検討することにした。U君が、O主任から渡された資料を基に対象機器を選定して、図1に反映させたネットワーク構成を、図2に示す。

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>図2 仙台拠点でTCへ移行した後のZ社のネットワーク構成(抜粋)

 本社と仙台拠点間の通信には、仮想PCとTC間の通信のほかにも②新たに発生する通信があり、また、現在ある通信のうち発生しなくなる通信もある。それらの通信によるトラフィックの増減を見積もり、TCへ移行した後のIP-VPNの使用帯域を試算する。仮想PCとTC間の通信については、TCメーカの測定結果を使用し、そのほかの通信については、実際にネットワークを調査することにした。
 本社と仙台拠点間の通信には、仮想PCとTC間の通信のほかにも%%%②新たに発生する通信があり、また、現在ある通信のうち発生しなくなる通信もある%%%。それらの通信によるトラフィックの増減を見積もり、TCへ移行した後のIP-VPNの使用帯域を試算する。仮想PCとTC間の通信については、TCメーカの測定結果を使用し、そのほかの通信については、実際にネットワークを調査することにした。

[ネットワークの調査]
 U君は、本社と仙台拠点間のIP-VPNのトラフィックを調査した。調査方法は、次のとおりである。本社内のPCで動作しているSNMPマネージャから、RT2のWAN側ポートのIPアドレスをあて先にしてRT2のSNMP[ ウ ]と通信を行う。RT2の[ エ ]と呼ばれる管理情報のオブジェクトのうち、ポートで受信又は送信した総バイト数を表すifInOctetsとifOutOctetsのカウンタ値を1分間隔で取得し、それぞれの増分を求める。カウンタ値は、LAN側ポートのものを取得する。RT2及びSNMPマネージャの動作が正常であっても③増分が負になることがあるので、その場合には定数を加えて補正する。増分を[ b ]で割り、トラフィックの1分間ごとの平均値を求める(単位:kビット/秒)。さらにL2SW2にトラフィックモニタを接続して、拠点内の機器で発生するトラフィックを詳しく調査する。以上の結果から、TCへ移行した後の仙台拠点でのIP-VPNのトラフィックは、現在の約6割に削減されることが分かった。また、横浜拠点についても同じ調査を行い、仙台拠点と同様の結果を得た。
 U君は、本社と仙台拠点間のIP-VPNのトラフィックを調査した。調査方法は、次のとおりである。本社内のPCで動作しているSNMPマネージャから、RT2のWAN側ポートのIPアドレスをあて先にしてRT2のSNMP[ ウ ]と通信を行う。RT2の[ エ ]と呼ばれる管理情報のオブジェクトのうち、ポートで受信又は送信した総バイト数を表すifInOctetsとifOutOctetsのカウンタ値を1分間隔で取得し、それぞれの増分を求める。カウンタ値は、LAN側ポートのものを取得する。RT2及びSNMPマネージャの動作が正常であっても%%%③増分が負になることがある%%%ので、その場合には定数を加えて補正する。増分を[ b ]で割り、トラフィックの1分間ごとの平均値を求める(単位:kビット/秒)。さらにL2SW2にトラフィックモニタを接続して、拠点内の機器で発生するトラフィックを詳しく調査する。以上の結果から、TCへ移行した後の仙台拠点でのIP-VPNのトラフィックは、現在の約6割に削減されることが分かった。また、横浜拠点についても同じ調査を行い、仙台拠点と同様の結果を得た。
 続いて、U君はRTの優先制御設定の再検討を行った。現在は、IP電話に関連する通信を優先するよう設定している。RTの優先制御の動作は、次のとおりである。
・入力パケットの量が出力パケットの量以下であれば、パケットを入力した順に出力する、[ オ ]と呼ばれる仕組みに基づいて転送する。
・入力パケットの量が出力パケットの量を超えると、パケットを優先と非優先に分けてメモリ上の待ち行列として一時的に保存し、優先パケットから先に転送する。非優先パケットは、優先パケットの待ち行列が空になったときに転送する。待ち行列の長さが上限に達すると、次の入力パケットを待ち行列に追加せずに破棄する。

 RTの優先制御の動作では、トラフィックの状態によっては、④非優先の通信におけるTCPの転送速度が極端に低下する場合がある。しかし、今回は、そのような場合はないと判断し、仮想PCとTC間の通信を優先する通信として追加することにした。
 最後に、U君は拠点での動画表示について検討した。動画ファイルは、ファイルSVに保存する。一般に、画面転送型TCでの動画表示には制約を伴うが、導入予定のTCには、画像転送とは別セッションで仮想PCから動画情報を送り、TCで複合を行う機能がある。U君は、この機能を使用することと、⑤動画表示に必要な通信帯域をIP-PNの見込余剰帯域以下にするための運用条件を検討することを提案することにした。
 RTの優先制御の動作では、トラフィックの状態によっては、%%%④非優先の通信におけるTCPの転送速度が極端に低下する場合がある%%%。しかし、今回は、そのような場合はないと判断し、仮想PCとTC間の通信を優先する通信として追加することにした。
 最後に、U君は拠点での動画表示について検討した。動画ファイルは、ファイルSVに保存する。一般に、画面転送型TCでの動画表示には制約を伴うが、導入予定のTCには、画像転送とは別セッションで仮想PCから動画情報を送り、TCで複合を行う機能がある。U君は、この機能を使用することと、%%%⑤動画表示に必要な通信帯域をIP-PNの見込余剰帯域以下にするための運用条件を検討すること%%%を提案することにした。
 U君は、以上の検討・調査の結果をまとめ、O主任に、現在のネットワークを変更せずにTCを運用できることを報告し、O主任の了解を得た。

設問1 本文中の[ ア ]~[ オ ]に入れる適切な字句を答えよ。

設問2 [TCの実装方式と通信]について、(1)~(3)に答えよ。
 (1)本文中の[ a ]に入れる適切な数値を答えよ。
 (2)本文中の下線①に示す技術を二つ挙げ、それぞれ10字以内で具体的に答えよ。
 (3)本文中の下線②に示す新たに発生する通信を一つ、発生しなくなる通信を二つ、図1、2中の機器名を用いてそれぞれ答えよ。

設問3 [ネットワークの調査]について、(1)~(5)に答えよ。
 (1)本文中[ b ]に入れる適切な数値を答えよ。
 (2)LAN側ポートのカウンタ値を取得する目的は何か。調査方法に着目して、30字以内で述べよ。
 (3)本文中の下線③の現象は、何によるものか。15字以内で述べよ。
 (4)本文中の下線④の原因は何か。TCPの動作に注目して、35字以内で述べよ。
 (5)本文中の下線⑤で想定すべき項目を二つ挙げ、それぞれ20字以内え答えよ。

** 解答用紙 [#j0c43622]
http://www.itec.co.jp/learner/download/


** 解答 [#a1d46d82]
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_2/2010h22a_nw_pm1_ans.pdf

** 解説 [#rdd01e80]

** 講評 [#ld186909]
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_2/2010h22a_nw_pm1_cmnt.pdf

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